ワクチン
2026年09月15日

最近、患者さんとお話ししていると、
「コロナも以前ほどニュースにならなくなったし、もうワクチンはいいかな」
「何度か接種したし、もう十分では?」
という声を聞くことが増えてきました。
確かに、数年前のように毎日の感染者数が大きく報道されることは少なくなりました。街の様子も日常に戻り、私たちの中にも「コロナはもう大丈夫」という感覚が少しずつ広がっているように思います。
ですが、呼吸器内科医としては、特に高齢の方には、もう一度考えていただきたいと思っています。
2026年9月、日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会の3学会は、今年度の新型コロナワクチン定期接種について見解を発表しました。
その中では、高齢者では現在もCOVID-19による重症化・死亡リスクが高い状態が続いているとして、2026年10月から開始される、流行株に対応した最新ワクチンの定期接種を強く推奨しています。
特に知っていただきたいのは、死亡者数です。
日本呼吸器学会などの3学会によると、2025年の日本における65歳以上のCOVID-19による死亡者数は21,003人でした。
同じ年のインフルエンザによる死亡者数は6,333人。
つまり、高齢者においては、現在も新型コロナによる死亡者数はインフルエンザを大きく上回っています。学会も、COVID-19の疾病負荷は高齢者では「少なくともインフルエンザと同等か、それ以上」としています。
新型コロナウイルスはなくなったわけではありません。
現在も変異を繰り返し、冬だけでなく夏にも流行がみられています。過去に感染したことがあっても、あるいは以前ワクチンを接種していても、その免疫を部分的にすり抜ける新しい変異株が出現しています。
そのため、新型コロナワクチンもインフルエンザワクチンと同じように、その時に流行している株に合わせたワクチンを定期的に接種するという考え方になっています。
「以前に何回も打ったから、もう大丈夫」というよりも、
“今年流行するウイルスに対して、今年の免疫を準備する”
というイメージに近いと思います。
「ワクチンを打ったのに感染した」という経験をされた方もいると思います。
ここはとても大切なところです。
現在の新型コロナワクチンの主な目的は、完全に感染を防ぐことだけではありません。
特に重要なのは、入院や重症化を減らすことです。
3学会の資料では、2024年秋から使用されたJN.1対応ワクチンについて、日本国内で、65歳以上の発症予防効果は44.3%、60歳以上の入院予防効果は61.8%と報告されています。
さらに、2025年4~9月における60歳以上の入院予防効果も72.1%とされており、秋に接種したワクチンの効果が翌年の夏まで一定程度維持される可能性が示されています。
海外でも、2025年秋のワクチンについて、入院や死亡を減らす効果が報告されています。
「私は一度コロナにかかったから免疫があるはず」
と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、新型コロナは変異を繰り返しているため、再感染は珍しくありません。
3学会も、過去にCOVID-19にかかった方についても、最新ワクチンの接種を勧めています。
新型コロナワクチンについては、さまざまな考え方があると思います。
もちろん、ワクチン接種には発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などの副反応がみられることがあります。そのため、年齢、持病、過去の副反応、現在の体調などをみながら、一人ひとり判断していくことが大切です。
ただ、
「みんながもう打っていないから」
「ニュースで聞かなくなったから」
「一度コロナにかかったから」
という理由だけで、「もうワクチンはいらない」と決めてしまうのは、少しもったいないと思っています。
特に65歳以上の方や、呼吸器疾患、心疾患、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方では、感染した場合の重症化リスクを考え、今年のワクチンについて一度かかりつけ医と相談していただきたいと思います。
当院でも10月から新型コロナワクチン接種を開始予定です。
65歳以上の方は公費接種 7,000円、自費接種は 16,000円です。
「自分は接種した方がいいのだろうか?」と迷われている方は、診察時にお気軽にご相談ください。
HIYOSHINOMORI INTERNAL MEDICINE CLINIC